校長室便り_archive
校長室便り⑫
- 2024年03月14日
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令和5年度 宮崎学園高等学校卒業式 式辞
今年の冬は、暖かい日が多いとはいえ、日々の気候の変化が著しいものがありましたが、ようやく朝夕の寒暖の差がようやく落ち着きを見せ始め、木々の芽吹きとともに、桜つぼみが膨らみをましています。
この良き日に、学校法人宮崎学園高等学校の卒業証書授与式を挙行できますことに心から感謝申し上げますとともに、ご列席いただきました学校法人より山下理事長をはじめ、PTA役員の方々、並びに、ご来場の皆様に厚く御礼申し上げます。
卒業生の皆さん。宮崎学園高等学校は、創立以来、宮崎市の中心に位置し、落ち着いた校風と品格ある教育活動の中、多くの卒業生を輩出してきました。今年、創立84年目を迎え、その84年間の中の3年間における皆さんの足跡は、学校の発展をさらに加速させ、今日、ここに、巣立つ時となりました。卒業、おめでとう。
保護者の皆様。お子様のご卒業を心よりお喜び申し上げます。保護者の皆様には、今日のお子様の姿は、どのように映っているのでしょう。
幼少期、病気になれば、昼夜を問わず看病に右往左往したこと、小学校、運動会で、その姿をハラハラしながら見守ったこと、中学校、ちょっと大人になって、生意気な一面に、一喜一憂したこと、そして、高校生になった3年前、期待と不安を巡らせたこと、さまざまな事柄が、思い出されるのではないでしょうか。
今日は、立派に成長したお子様の姿を、心に刻んでいただきたく存じます。
さて、卒業生の皆さん。君たちは新型コロナ感染症拡大に伴い、まさにコロナの真っただ中を駆け抜けた高校生活であったのではないでしょうか。
これからは、コロナ禍で激変した社会を生き抜いていかなくてはなりません。生成AIの急速な開発とその活用、DX技術の激変、不安定な国際関係、VUCAといわれる予測不可能な日本や世界の状況など、不安を感じることも多いかと思います。
一方では、君たちはZ世代とも呼ばれています。生まれた時から高速インターネットがあり、スマートフォンがあり、VOD(ビデオオンデマンド)や多種のゲーム機器、SNSなと、生活の中に普通にあったデジタルネイティブ世代です。しかし、今、このZ世代が世の中を変えていくともいわれています。それは、いくつかの特徴を備えているからと言われています。
例えば、多様性つまりダイバシティに富み、自分の意見を表現することもあるが、自分と違った考えを受け入れることに長けている。これは、人種や性別など、個々の背景によって区別することのない公平な行動や考え方を共有しようとしていることにつながっていきます。自分の個性を大切にしながらも、お互いを受け入れるという、つまりインクルーシブ的な価値観があるということです。
現在、世界では、異なる意見や考え方を同時に解決することを目指す力が弱まっている事象が多くみられます。共存から分断へ、協働から個別にといった価値観が広がりつつあるのではないでしょうか。
だからこそ、Z世代の持つ価値観や行動力が期待されているのかもしれません。君たちはどのように考えますか。
卒業生の皆さん。君たち一人ひとりがこれからの時代を担う人材となります。
アフターコロナの新たな時代を牽引し構築していく人材を日本も、世界も、求めているのです。
君たちの中から、これまでの世界が当たり前としている価値を、遙かに超越する、新たな価値を、提唱する人が生まれるかも知れません。
この中から、誰も想像もできない産業を生み出す人が現れるかも知れません。ここにいる一人ひとりが、その可能性を秘めているのです。
歴史を見てください。これまでの社会の大きな変革は、たった一人の人間から、もたらされているのです。たった一人の新しい発想や価値の創造により、その一人が周囲に夢を語り、行動して、時代を動かしていくのです。
時代を担い、動かしていくことに、年齢は関係ありません。まだ学生だからとか、まだ若いからとか、経験不足だからとかいった観念は必要ないのです。若さは、新しい発想、柔軟な思考、豊かな感性の、象徴でもあります。
大きな夢を抱いてください。その夢を、友と大いに語ってください。自信をもって、前に進んでください。宮崎学園高等学校での、ありとあらゆる学びは、君たちの可能性を大きく引き出し、夢の実現へ向けて、必ず、下支えしてくれることでしょう。
一方で、君たちが夢の実現へ向けて、進む中で、心に留め置いて欲しいことがあります。
それは、「学への志(おもい)・心の大樹・友垣われら」、校歌の歌詞に盛り込まれた言葉ですが、今後、君たちに多くの指針を示してくれる言葉だと思っています。
生涯を通して「学びつづけること」、人生を「心豊かに過ごしていくこと」、日々の生活の中で「友や隣人を大切にすること」は、まさに建学の精神「礼節・勤労」についながる内容ではないでしょうか。
さあ、卒業生の皆さん。
このあと歌う校歌にちりばめられた建学の精神、そして校訓である「強く、明るく、優しく」を、心の奥深く刻んで欲しいと思います。
そして、君たち一人ひとりが、いつまでも、いつまでも情熱もち、挑戦し続ける人生を歩んでいくことを、心から、祈っています。
結びに、ご来賓の皆様、並びに、ご列席いただきました保護者の皆様方に、改めまして感謝申し上げ、式辞といたします。
令和6年3月1日 学校法人 宮崎学園高等学校 校長 押方 修